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2024年6月7日金曜日

出光美術館「出光佐三、美の交感」5

 

カタログには「ひとり、濁り酒を飲む旅人のふっくらとした顔は、疎開先の赤倉で自適な生活を送り、好々爺となった放菴の面影に重なります」とあります。しかし面影が重なるだけじゃなく、放菴も上戸だったそうです。もし下戸だったら、こんな素晴らしい旅人像が描けるはずはありません。

先の「讃酒歌」にあるように、旅人が好きだったのは濁り酒だったようですが、描かれた小さなタカツキを見ると空になっていますから、全部飲んじゃったあとなのかな() 坂口謹一郎の名著『日本の酒』(岩波文庫)には、「おそらく当時(奈良時代)造られていた米の酒は、ざるか布でこして、糟かすをはなして、うすにごりの清酒の状態で飲まれていたものであったらしい」とあります。

となると、旅人がわざわざ「濁れる酒」と詠んだのは、この一般的な「うすにごりの清酒」ではなく、やはりドブロクだったように思われます。それにこの一首には、ドブロクこそふさわしいのではないでしょうか。


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