2024年6月4日火曜日

出光美術館「出光佐三、美の交感」2


  「僕の一点」は小杉放菴の「大宰帥だざいのそち大伴旅人卿讃酒像」ですね。先の「ごあいさつ」にあるように、小杉放菴は出光佐三が愛して止まない同時代の画家――コンテンポラリー・アーティストでした。カタログの「関連略年表」によると、両者の親交が始まったのは、昭和5年(1930)のころでした。この年、放菴は49歳、佐三は45歳でしたから、ちょうど兄弟といってもよい年齢差だったことになります。放菴が妙高高原の赤倉に別荘を建て、安明荘と名づけた記念的な年でもありました。

放菴は昭和3年から3年間にわたり、九州各地に旅のワラジを脱ぎました。もうワラジじゃなく靴だったと思いますが……() その成果として、「鎮西画冊」と題する5100余図からなるアルバムが生まれました。




0 件のコメント:

コメントを投稿

東京美術『日本視覚文化用語辞典』3

  前回、東京国立博物館の特別展「蔦屋重三郎 コンテンツビジネスの風雲児」を紹介しましたが、実をいうと後期高齢者の僕には「コンテンツ」の意味がよく飲み込めませんでした。しかしこの辞典にはチャンと「コンテンツ」という項目があって、簡にして要を得た説明がなされています。しかも「マーシ...