「僕の一点」は、カタログの表紙にもなっている「青磁鎬文壷」ですね。元時代の竜泉窯で焼成された逸品、もちろん出光美術館コレクションです。南宋の秘色青磁とは異なる落ち着いたオリーブグリーンの釉、大らかなふくらみ、高さは33センチに満たないのに、ずっと大きく見えるボリューム感に圧倒されます。草原を馬で疾駆し、やがて大帝国を建設したモンゴル民族のエネルギーと共鳴しているようです。
もちろんフォルム自体は、漢民族が愛して止まなかった「蓮」から着想されています。蓋は冬に蓮の葉が枯れてうな垂れた「敗荷」のイメージで、その茎をツマミにしています。
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