田能村竹田は著書『山中人饒舌』において、玉堂画の素晴らしさは微茫惨澹――はっきりとは認識できない幽玄にして微妙な感じにあると指摘しています。本図も例外ではありえません。
また竹田は、玉堂の作品に三つの特徴があると述べています。木の幹は細いが枝葉が多いこと、点景の人物が小さいこと、筆墨が紙背に透っていることです。しかし本図には点景人物が描かれておらず、きわめて珍しい玉堂画となります。本図は60歳代後半の制作にかかるものと推定されますが、この時期には他にもこのような無人の作品があるのです。
もっとも『肉筆浮世絵大観 3 < 出光美術館 > 』 に解説を担当した大久保純一さんは、 岩田秀行さんの教示に よると礼を尽くしつつ 、先の5代目岩井半四郎を初代岩井紫若 にあてて います。 満月を浮かべる青い夜空、川面に映る 月影や 往来する舟の影、役者や橋杭が地上に作...
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