これを通読すれば、先に「僕の一点」として選んだ酒井抱一下絵・原羊遊斎作「草花蒔絵四方盆そうかまきえよほうぼん」(出光美術館蔵)の美術史的楽しみはさらに深まるでしょう。手に取ったらまず読んで欲しいのは、最後にある竹浪遠さんの「歳寒三友図の成立をめぐって」ですね。
松竹梅は初め君子や友情の象徴だったけれども、徐々に吉祥性が加わっていったという、大変興味深い指摘があるからです。「草花蒔絵四方盆」から感じられるのは、まさに吉祥性の方でしょう。
竹浪さんは元代の工芸を取り上げて、存分に発揮された吉祥性をそこに見出しています。例として「青花松竹梅図香炉」(北京・故宮博物院蔵)の写真が掲げられています。
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