3回目は「ドイツで手に入れた人形 美術品調査『事件』の思い出」でした。日本近代医学の父であるベルツ博士の日本絵画コレクションを、ハイデルベルク大学に調査に行ったとき建物に閉じ込められ、毎日参照していた澤田章の『日本画家辞典』を枕に、4階の調査室でゴロ寝をしたという間抜けな話でした。
翌朝6時過ぎに目が覚めたので、1階にあるトイレに下りていきました。するとちょうど鍵を開けて入ってきた清掃のおばさんと鉢合わせ――「キャ~~」。いるはずのない人間が、階段を下りてきたんです。しかもステテコ姿の変な東洋人です。驚くなという方が無理でしょう。ブロークン・イングリッシュで事情を説明し、ようやく解放してもらい、ふかふかベッドで仮眠をとるためホテルへ向かいました。早朝のハイデルベルクの街が、何と美しかったことでしょう。
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