2023年7月21日金曜日

『荻生徂徠全詩』第2巻9

 

 そして最後は、饒舌館長が大好きな艶詩――七言律詩「美人昼ひるぬ」です。夏とは明示されていませんが、もちろん夏の詩です。我が国でも「昼寝」は夏の季語ですから。

荻生徂徠「美人昼寝ぬ」

 琵琶にもたれて転寝うたたねす もの思わしげで艶冶なり

 離宮に咲く花 濃密な 香気が美人にまといつく

 欄干の影 日とともに 斜めに移るを知りもせず

 着物の裾に風 吹いて 乱れちゃっても気にとめず

 夢から覚めた楊貴妃と 比べてうらやむ要はなく

 ただあこがれる夢の中 蝶々ちょうちょになって飛ぶ姿

 王の寵愛 特別で 昼夜 居続け 耽溺す

 楚王も顔負け雲雨の情 彼女がセクシー過ぎるから


0 件のコメント:

コメントを投稿

皇居三の丸尚蔵館「近世の御所を飾った品々」6

 友松は晩年、桂宮家を創始した智仁 ともひと 親王のもとにしばしば出入りし、押絵の注文などを受けていたことが、記録から明らかになっているからです。畏友・河合正朝さんの『友松・等顔』<日本美術絵画全集 11 >(集英社  1978 年)によると、桂宮淑子 すみこ 関係の記録にある「...