2023年7月18日火曜日

『荻生徂徠全詩』第2巻6

 

荻生徂徠「子規しきく」

 晩春 三月 街のなか いろんな花が乱れ舞う

 春愁 女おみなは子規しきの声 聞けば涙で機はたを織る

 いくら恋人 想っても 夢に見るのも難かたいのに

 「帰るに如かず」とこの妾われに 啼きかけるとはあんまりよ

 南 楚の雲 立ち込めて 国境地帯の山はるか

 北 秦塞しんさいは朦朧もうろうと していて音信 途絶えがち

 千里の彼方へどうしても 遣つかわしたいのよホトトギス

 アルタイ山で我が背子せこは 蛮族 守備してもう何年

 *晩春3月の詩ですが、子規(ホトトギス)は夏の季語なので、ここに加えることにしましょう。

0 件のコメント:

コメントを投稿

皇居三の丸尚蔵館「近世の御所を飾った品々」6

 友松は晩年、桂宮家を創始した智仁 ともひと 親王のもとにしばしば出入りし、押絵の注文などを受けていたことが、記録から明らかになっているからです。畏友・河合正朝さんの『友松・等顔』<日本美術絵画全集 11 >(集英社  1978 年)によると、桂宮淑子 すみこ 関係の記録にある「...