2023年6月11日日曜日

諸橋轍次博士から受けた学恩感謝の辞6

 

私がこのように考える理由はもう一つある。この墓誌銘がちょうど百五字になっていることである。『諸橋大漢和辞典』に「百五」を求めれば、「春三月の寒食の節。冬至の後一百五日に当るからいう」とある。

また「寒食」を引けば、「此の日は疾風甚雨のある節として、前後三日間、火を焚くを禁じ、予め調え置いた食物を食し、大麦粥を作り、闘鶏・鞦韆等の遊戯を行う。……伝え言う、晋の文公、林を焚いて介子推を求め、子推が木を抱いて死するを見て、之を哀しむ余り、国人の火を挙げるのを禁じたので、後世之に因って寒色の俗を生ずと」とある。


0 件のコメント:

コメントを投稿

根津美術館「唐絵」8

   その山水はいわゆる辺角の景という構図になっています。画面の左上から右下に対角線を一本引いて、その左下に近景を描き、右上の余白に遠景を添えて遠近感を視覚化させています。 このような辺角の景は、中国・南宋時代の画院画家である馬遠や夏珪が好んで用いた構図法でした。ですから馬の...