2023年5月3日水曜日

静嘉堂@丸の内「明治美術狂想曲」11

ところで明治28年4月といえば、日本は日清戦争に勝利し、講和条約を結んだところでした。松本楓湖はその戦勝を暗示するような「蒙古襲来碧蹄館図屏風」を、この第4回内国勧業博覧会に出品しています。同時に出品された橋本雅邦の傑作「龍虎図屏風」にも、同じような寓意を読み取ろうとする見解もあります。

これらはかなり直接的な寓意ですが、野口幽谷の「菊鶏図屏風」にも、ある寓意が込められているように思われてなりません。すでに鶏をモチーフにした「闔家全慶こうかぜんけい」という画題についてはお話ししたとおりですが、つぎに菊ですね。菊にはさまざまな寓意があります。花ですので花言葉といってもよいでしょう。

 

0 件のコメント:

コメントを投稿

皇居三の丸尚蔵館「近世の御所を飾った品々」6

 友松は晩年、桂宮家を創始した智仁 ともひと 親王のもとにしばしば出入りし、押絵の注文などを受けていたことが、記録から明らかになっているからです。畏友・河合正朝さんの『友松・等顔』<日本美術絵画全集 11 >(集英社  1978 年)によると、桂宮淑子 すみこ 関係の記録にある「...