「闔家全慶こうかぜんけい」は「慶」と「鶏」の字音が同じであるところから生まれた画題である――しかし落ち着いて考えるとチョットおかしいじゃ~ありませんか。これは中国で考え出された画題にちがいありませんが、現在の中国語である普通話によれば、「慶」は「チン」、「鶏」は「ジー」で、まったく異なる発音だからです。
しかし、おかしくないんです。「慶」と「鶏」を「ケイ」と読むのは漢音、つまり唐時代の長安で使われていた標準的な発音を写した発音だからです。漢音によれば、確かに同じ字音になります。
友松は晩年、桂宮家を創始した智仁 ともひと 親王のもとにしばしば出入りし、押絵の注文などを受けていたことが、記録から明らかになっているからです。畏友・河合正朝さんの『友松・等顔』<日本美術絵画全集 11 >(集英社 1978 年)によると、桂宮淑子 すみこ 関係の記録にある「...
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