2023年3月30日木曜日

出光美術館「江戸絵画の華 第2部」7

 

 僕がこの応挙筆「赤壁図」をはじめて見て感を深くしたのは、昭和60年(1985524日のこと、そのときの調査カードを引っ張り出してきて、このブログを書いているところです。

この作品は款記から、安永5年(1776)応挙44歳のときの作であることがわかります。この年は応挙の創造意欲がとくに高揚し、「藤花図屏風」(根津美術館蔵)や「雨竹風竹図屏風」(円光寺蔵)のような傑作屏風が制作されたのでした。その高揚感は長い横幅の「赤壁図」からもよく感じられるのではないでしょうか。東京美術学校校長であった正木直彦が、昭和9年(1934)冬に漢文で箱書きを認めています。現代文に直してみれば……。



0 件のコメント:

コメントを投稿

根津美術館「唐絵」5

とくに応永年間、熱狂的 に愛好されたので、応永詩画軸 などと呼ばれることもあります。 詩画軸のことを勉強するときには、必ず『禅林画賛   中世水墨画を読む』 ( 毎日新聞社 ) という本を手元に置かなければなりません。そして監修者である島田修二郎先生の論文「室町時代の詩画軸につい...