2023年3月11日土曜日

『美術商・林忠正の軌跡』18

ブリンクマンは我が国文化における詩歌のすぐれた意義を明らかにし、美術とのきわめて密接な関係を、早くも1889年の段階でつぎのごとく指摘しているんです。饒舌館長口演で何度紹介し、配布資料に何度引用したことでしょうか。

日本人にあって、その心のすがたをもっともよくうかがわせてくれるのは、詩歌、この国民がうたいつづけてきた古い詩歌である。これらの詩歌だけによっても、この国民の感情の深さ、理想へのあこがれ、美しいものに触れるたびに身のおののきを感じる喜び、といったものが明らかになってくる。この日本の古い詩歌という宝ものは、芸術家たちに霊感を与えて、そのもっとも天才的な幾多の作品を生み出させてきた。とりわけ、腕のいい職人たちの手をみちびき、装飾のためのモチーフの無尽の鉱脈となってきた。

 

0 件のコメント:

コメントを投稿

出光美術館「トプカプ・出光競演展」2

  一方、出光美術館も中国・明時代を中心に、皇帝・宮廷用に焼かれた官窯作品や江戸時代に海外へ輸出された陶磁器を有しており、中にはトプカプ宮殿博物館の作品の類品も知られています。  日本とトルコ共和国が外交関係を樹立して 100 周年を迎えた本年、両国の友好を記念し、トプカプ宮...