2022年8月8日月曜日

出光美術館「板谷波山」2

両方の作品を実見して、僕はとてもおもしろいと思いました。香山は革新的な意匠や高浮彫りという新しい技法を使いながら、どこか伝統的な陶工の匂いがするのに対し、波山にはそれがまったくなく、とてもモダンなんです。波山は近代的な芸術家であったのです。

香山は天保13年(1842)、波山は明治5年(1872)の生まれです。ちょうど一世代ちがうことになりますから、この年代差を考えなければなりません。香山に少し遅れて生まれた三代清風与平と、竹本隼太を加えて、明治の三代名工と呼ばれていますが、みな伝統的陶工の匂いをもっているからです。

 

0 件のコメント:

コメントを投稿

室町のネコ絵6

  この『國華』 1194 号に載る、平田寛先生の國華賞受賞記念講演録「日本仏画の美しさ」にも深く心を動かされます。その感動的な〆の一節を、引用せずにはいられません。 人類の絵画史において、ミケランジェロ絵画の強壮なドラマや宋代水墨山水画のゆるぎない真実を、ひとはすべて偉とす...