しかし僕の好みをブッチャケにいえば、やはり田沼武能先生の『時代を刻んだ貌』ですね。もっともこれは、僕が程よいバランス感覚をもつ人間であることの反映かもしれませんが……(笑)
それはともかく、田沼先生と土門拳の違いを写真よりもっと端的に教えてくれるのは文章の方です。両者とも、一人ひとりに取材ノートを添えています。土門拳はほとんど自分を、あるいは自分との関係を語っていますが、田沼先生は対象を語り、ときどきチョット自分の感想を加える程度にとどめています。
視覚文化――それは過去を凝縮した文化であり、現代を象徴する文化であり、未来を略奪する文化だ。日本は原始の時代から視覚文化のマホロバであり、すぐれた伝統はもちろん現代まで脈々と受け継がれている。それを世界へ向けて発信し、国境を越えて交信したい。そのための絶対的ツールとして出版された...
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