この作品については、去年追悼の辞を捧げた武田光一先生が『美術研究』348号に発表した名論卓説があって、すべてが尽くされています。
詳細はそれにゆずって、ここでは伊勢松阪から出た黄檗僧・終南浄寿が加えた、印象深い七言絶句の戯訳だけをアップすることにしましょう。
おんぼろ橋に差す夕日 すでに真紅に染まってる
川が一筋流れてる 枝垂れ柳が両岸に……
急に旅人やってきて 渡しの水夫かこを呼んでいる
深き碧みどりの入り江には 小さな舟がユラユラと……
この一対の作のような典型的な太白尊は、他に類例をみない。はなはだ珍しい存在である。牡丹唐草の文様はかなり深く彫られており、しかもさらえた間地に櫛目を繁く印しているので、文様の浮上りがすこぶる明瞭である。一対で作られているということは、おそらく祭器として用いられたことを示唆する...
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