① 「おくのほそ道」を読み進めていくと、ふと思うことがある。芭蕉はそれほど旅が好きではなかったのではないか……と。
② 当時の湯本。芭蕉はそこに泊まっているのだが、「おくのほそ道」では、温泉に触れていない。「おくのほそ道」という本は本当に俳句ひと筋。温泉や料理といったいま風の旅の楽しみはほとんど登場しない。ストイックな内容なのだ。芭蕉も湯に浸かっているはずなのだが……。
③ (金沢で)弟子に囲まれて目の輝きを変える芭蕉に比べ、曾良は精彩を欠いていく。曾良の病は腹痛といわれているが、そんな無気力感が遠因になっていた気がする。……曾良というひとりの男がいとおしく思えてくる。
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