2021年12月11日土曜日

東京黎明アートルーム「浦上玉堂」3

 この書き出しに続いて、田能村竹田が著わした画論『山中人饒舌』の玉堂に関する一節が出てくるわけです。この引用には、恩師である竹谷長次郎先生の現代語訳を使わせてもらいました。もう30年近く前に書いたものですが、この見方は今も変わっていません――というより、さらに強い確信に変わっています() 

玉堂の詩集『玉堂琴士集』<前集><後集>には、お酒をたたえた詩がたくさん収められています。そのなかで、僕がもっとも好きなのは、<前集>の「山行」と題される15首のなかの1首です。「玉堂と酒」では、原詩と書き下しだけでしたので、ここではマイ戯訳を……。

 

0 件のコメント:

コメントを投稿

皇居三の丸尚蔵館「近世の御所を飾った品々」5

もちろん、中世に入れば山上憶良の歌は忘れ去られ、画家や鑑賞者に意識されることなく、記憶の残滓が脳内のどこかに沈殿しているに過ぎなくなっていたことでしょう。 しかし、憶良の歌のDNAだけは伝えられていたように思われてなりません。例えば 俵屋宗達の傑作「松島図屏風」(フリーア美術館蔵...