2021年9月20日月曜日

追悼 大久保一久さん4

 

22才の別れ」が流行っていたころ、僕は東京国立文化財研究所につとめていましたが、この研究所には大久保一丘[いっきゅう]という画家の「真人図」が所蔵されていました。一連の伝一丘筆真人図のうち、唯一落款印章をともなう基準作です。

この作品については、洋風画研究のパイオニアともいうべき黒田源次先生が、『美術研究』第2号(1932年)に、「一丘筆人物像に就いて」という論文を寄せて考察しています。黒田先生によると、これは22歳ならぬ12歳のキリストを描いたもので、その主題や技法は、『西洋画談』という口述筆録を遺した蘭学者・高森観好と一丘の親交に由来する可能性が高いとのことです。

0 件のコメント:

コメントを投稿

出光美術館「復刻 開館記念展」5

  この一対の作のような典型的な太白尊は、他に類例をみない。はなはだ珍しい存在である。牡丹唐草の文様はかなり深く彫られており、しかもさらえた間地に櫛目を繁く印しているので、文様の浮上りがすこぶる明瞭である。一対で作られているということは、おそらく祭器として用いられたことを示唆する...