2020年12月18日金曜日

アーティゾン美術館「琳派と印象派」3


  これだけ画家光琳を高く評価しながら、ゴンスが「しかし光琳の絵画もその漆器の前では色褪せる」と述べていることは、ジャポニスムを考えるとき、とても示唆的であると思いますが……。それはともかく、ジャポニザンたちが琳派にも興味を持っていたことは、この一文によって証明されると思います。

もっともゴンスは、「ヨーロッパでは、少数の通[つう]を除いては、彼の作品は未だ知られず、賞賛もされていない」と書いていますから、浮世絵に比べれば限定的な評価であり、一般的人気の点ではまだまだ低かったのでしょう。

しかし、ゴンスのような西欧人がいることは、モデルを中華文明から西欧文明に180度転換し、その西欧に追いつき追い越せとばかりに近代化を進める――つまり西欧化を進める日本にとって、じつに力強い応援でした。

0 件のコメント:

コメントを投稿

サントリー美術館「絵金」7

  しかし間もなく、「美術品は所蔵館で 地酒はその土地で」を絵金で体験することになりました。辻惟雄さんが主宰していた「かざり研究会」が、土佐へ絵金を観に行くことになったからです。「絵金まつり」の幻想と妖艶は、今でも忘れることができません。 高知県立美術館を訪ね、鍵岡正勤館長の...