2020年12月30日水曜日

アーティゾン美術館「琳派と印象派」12

 

土筆に視線を投げかけつつ、『夫木抄』は民部卿為家の「さほひめの筆かとぞみるつくづくし雪かきわくる春の景色は」を口の端に乗せれば、屏風の古典性はかなり薄れるように思われるが、もちろん加賀千代の「つくづくしここらに寺の跡もあり」ほど庶民的ではない。新出本の深く心に沁みる画面感情は、これら中世以前の和歌と江戸中期以降の俳諧とのあわいにあると言ってよいであろう。

実は1214日、「琳派と印象派」の特別鑑賞会を、すでにアップしたことがある國華清話会で開かせていただきました。ちょうど誉れ高き四十七士討入りの日でしたが、コロナ禍のなか、その倍以上の会員が集まって充実した半日を過しました。饒舌館長はみずから『國華』に紹介した光琳と伊年の屏風を前に、ウンチクを傾けたことでした() 


0 件のコメント:

コメントを投稿

渡辺浩『日本思想史と現在』12

  そのとき『君たちはどう生きるか』の対抗馬 (!?) として挙げたのは、色川武大の『うらおもて人生録』(新潮文庫)でした。京都美術工芸大学にいたとき、『京都新聞』から求められて、就職試験に臨む受験生にエールを送るべくエッセーを寄稿したのですが、本書から「九勝六敗を狙え」を引用し...