2020年10月6日火曜日

五木寛之『大河の一滴』12

 

 どうも五木さんは、お酒が飲めないようですね。この下戸であることが、五木哲学誕生の理由であるように思われてなりません。少なくともその一つであることは間違いないでしょう。五木さんは酒で憂さを晴らす代りに、人生とは何かを考え続けたのではないでしょうか。そうだとすれば、酒仙館長なんて呼ばれて喜んでいる僕には、所詮このような哲学を生み出すことなど不可能だったのです()

 五木さんが遂にたどり着いた「人生は苦しみと絶望の連続である」という命題は、ショーペンハウアーの悲観主義(ペシミズム)や、ニーチェの虚無主義(ニヒリズム)とチョット似ているように思われるかもしれません。


0 件のコメント:

コメントを投稿

渡辺浩『日本思想史と現在』11

渡辺浩さんの著作を拝読すると、恩師・丸山真男先生に対する尊崇の念が行間からも感じられます。スチューデント・エヴァリュエーション――学生による先生評価も世の流れですから致し方ないと思いますが、学問における師弟とはこうありたいものだと、襟を正したくなります。 丸山真男先生といえば、 ...