2020年6月21日日曜日

梅雨6



 ついでに、佐佐木幸綱さん監修の『和歌・短歌歳時記』(三省堂)から、良寛さんの梅雨を詠んだ歌一首を紹介しておきましょう。良寛さんは「五月雨[さみだれ]」と詠んでいますが、つまり梅雨のことですよね。
もっとも、梅雨と五月雨は微妙に異なるようです。本書には「五月雨 陰暦五月に降る雨のこと。梅雨とほぼ同義だが、梅雨は雨の降る気候そのものを指すのに対して、五月雨は雨そのものを指す場合が多い」という説明が付されています。言われてみれば確かにそういう語感がありますね。先の漢詩と並べると、『良寛和漢朗詠集』みたいになるのが愉快です()
  五月雨に もの思ひをれば 時鳥[ほととぎす] 夜深く鳴きて いづち行くらむ


0 件のコメント:

コメントを投稿

根津美術館「唐絵」8

   その山水はいわゆる辺角の景という構図になっています。画面の左上から右下に対角線を一本引いて、その左下に近景を描き、右上の余白に遠景を添えて遠近感を視覚化させています。 このような辺角の景は、中国・南宋時代の画院画家である馬遠や夏珪が好んで用いた構図法でした。ですから馬の...