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2020年6月4日木曜日

石守謙「物の移動と山水画」(『國華』)11




蘇州の職業的文人画家であった李士達について、その摺扇画「平川帰渡図」(台北・故宮博物院蔵)を例に挙げながら進める石守謙さんの考察にも、シャッポを脱がざるを得ませんでした。この摺扇画には、「落日下平川 帰人争渡喧」という一聯の詩句が賛として書かれています。
これは盛唐の詩人・岑参[しんじん]の有名な詩句「渡口欲黄昏 帰人争渡喧」を、平易で口語的な詩句に改変することにより、市井の観衆に迎合しようとしたのではないかとする指摘は、正鵠をうがつものでしょう。この「巴南舟中」という五言律詩は、「千古絶唱」といわれたそうですが、不思議なことに『唐詩選』には載っていません。『三体詩』から採って、これまた戯訳を作ってみましたが……。

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