2020年5月28日木曜日

石守謙「物の移動と山水画」(『國華』)4



我々は更に、1617世紀の中国における摺扇画の興隆と発展の後に、それらが発祥の地である日本へと「逆に伝わってゆく」現象を見る。すなわち一つの「相互に作用しあう」関係があるとわかり、東アジア文化イメージの形づくられる過程を理解できる。実に難しいけれども注意して観察するに値する問題であるといえよう。
 このように石守謙さんは、人間の文化を相互影響としてとらえ、つとめて教条主義から距離を置こうとしています。僕もこうありたいと思いながら、実際はなかなかむずかしいことを白状しなければなりません。
続いて石守謙さんは、摺扇が中国で発展する過程において、山水画がもっとも重要な位置を占めていたことを見抜き、実証的考察を進めていきます。是非お読みいただきたいと存じますが、『國華』のオネダンを考えるとそう強くも言えず……()

0 件のコメント:

コメントを投稿

出光美術館「トプカプ・出光競演展」2

  一方、出光美術館も中国・明時代を中心に、皇帝・宮廷用に焼かれた官窯作品や江戸時代に海外へ輸出された陶磁器を有しており、中にはトプカプ宮殿博物館の作品の類品も知られています。  日本とトルコ共和国が外交関係を樹立して 100 周年を迎えた本年、両国の友好を記念し、トプカプ宮...