島尾新『水墨画入門』<岩波新書>2019
畏友・島尾新さんが新著『水墨画入門』を贈ってくれました。あっという間に読了、腰巻にある「こんなにも豊かで、深く、そして愉しい水墨画の世界」が、よく腑に落ちたことでした。あっという間に読めたのは、島尾さんの軽快な語り口のゆえでしょう。
島尾さんは日本の筆墨文化を論じて、「流れるように詠まれる歌には、連綿体の仮名の流れが相応しい」と述べていますが、その和歌のごとく連綿体のごとく、島尾さんの文章は美しく流れていきます。簡潔な体言止めを所々に混ぜながら、島尾文体は完成の域に達しています。
第一章は、「水墨画を定義するのは難しい」と書き始められています。そこで島尾さんは、「エビアン」や「トンカツ」や「マーカー」、三無主義の僕が持っていないスマホまで引っ張ってきて、水墨画をぐっと身近なアートにしようとしています。
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