2020年1月17日金曜日

江戸東京博物館「大浮世絵展」5


 しかしそれは、国芳の武者絵に限らない。美人画もまったく同様だ。このジャンルにおけるマニエラは喜多川歌麿だった。とくに二枚続きの「台所四美人」が、重要なイメージソースとなっていることが、井上和雄・鈴木重三両氏によって指摘されている。

 たとえば国芳の大首絵シリーズ「山海愛度図会」の「けむったい・丹波赤かゐる」もその一つだが、国芳の想像力によって何とマニエリスム化されていることだろうか。これを写実化とか庶民化などと見てはならない。私見によれば、歌麿の「婦人相学十岱躰」や「歌撰恋之部」もマニエラになったふしが強いが、国芳は勝手に振り返るポーズに変えて、マニエリスム化してしまう。

0 件のコメント:

コメントを投稿

出光美術館「トプカプ・出光競演展」2

  一方、出光美術館も中国・明時代を中心に、皇帝・宮廷用に焼かれた官窯作品や江戸時代に海外へ輸出された陶磁器を有しており、中にはトプカプ宮殿博物館の作品の類品も知られています。  日本とトルコ共和国が外交関係を樹立して 100 周年を迎えた本年、両国の友好を記念し、トプカプ宮...