2019年10月18日金曜日

追悼 池内紀先生3


事実、池内先生着任後、ドイツ文学研究室はかつての活気を取り戻したのでした。先生がお辞めになるとき、最後の教授会で「10年という柴田先生とのお約束を今年度で果しましたので……」と挨拶されましたから、ヘッドハンティング説はきっと本当だったんでしょう。

編集にたずさわった本を含めて、先生のご著書はいったいどのくらいあるものでしょうか。拝読したのはほんの数冊ですが、「僕の一点」は『ドイツ 町から町へ』(2002 中公新書)ですね。内容の紹介にかえて、「まえがき」の最後の一節を引用しておきましょう。ここにも池内先生における旅行のあり方、つまり生き方が、はっきりと語られているように思われます。


0 件のコメント:

コメントを投稿

鎌倉国宝館「扇影衣香」5

  昨日紹介した李嶠の詩を読んでみると、「扇影」というのは扇の輝きとかきらめく光の意味みたいですね。そこで僕は「扇影飄」を「白扇 はくせん みたいに翻 ひるがえ る」と訳してみたのですが、「影」を「物陰」の意味に取ると、「衣香」とまったく響き合わなくなっちゃうでしょう。 ついでに...