半ば公刊をあきらめていた大漢和辞典が石井さんの助力を得られると聞いた時、私は再生の思いがした。……そこで、いつも石井さんには催促がましいお願いをした。当時石井さんは他に幾多有利の事業をかかえていたにもかかわらず、それをさしおいてまで私の事業のために全力を傾けてくれた。
さて、いよいよあと一年ほどで完成に至ると思う頃、突如石井さんは病臥の身となった。かねてからじゅうぶんの健康体でないことは万々承知はしていたが、さりとて一面事業の完成期は日々日に迫ってくる。
「僕の一点」は、泉鏡花の小説『続風流線』( 1905 年)の口絵ですね。 27.8 × 22.1 センチという小さな画面の口絵が発するエナジー、ムーブマン、エロティシズム――みんな片仮名になっちゃいましたが、英朋の才能に舌を捲かない人はいないでしょう。しかも「蚊帳の前の幽霊...
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