2019年6月23日日曜日

金子啓明『古代一木彫像の謎』3


しかし、中心はビャクダンであり、その代用材としての「栢」であり、朝鮮ではこれにアカマツが加わると考えられています。つまり、クスノキは用いられなかった可能性が強いのではないでしょうか。

すると思い浮かぶのは、わが国においてクスノキは神のよりしろとなる神聖な樹木であった事実です。この点からおもしろいのは、本書が法隆寺金堂・釈迦三尊像の木製台座に注目している点です。

つまりこの台座において、連弁にはクスノキとみられる広葉樹が用いられているのに対し、そのほかの腰板やカマチの部分などの構造部には、ヒノキとみられる針葉樹が使われているというのです。ここにもクスノキの聖性がうかがわれるように思われます。

0 件のコメント:

コメントを投稿

ブータン博士花見会4

  とくによく知られているのは「太白」里帰りの物語です。日本では絶滅していた幻のサクラ「太白」の穂木 ほぎ ――接木するための小枝を、イングラムは失敗を何度も重ねながら、ついにわが国へ送り届けてくれたのです。 しかし戦後、ふたたび「染井吉野植栽バブル」が起こりました。全国の自...