2019年4月5日金曜日

小林古径が小倉遊亀へ1


小林古径が小倉遊亀へ(『遠山記念館だより』56号)

 小林古径は僕がもっとも好きな近代画家の一人です。そのなかでもっとも好きな絵が、遠山記念館が所蔵する「白菜」です。面取りされた薄いグレーのガラス器に、白菜と青梗菜と蕪を盛ったところを、背景は素地そのままにして描いた一点です。実にいい! 得もいえず素晴らしい!! 古径の傑作だ!!! 画面右下には、「古径」というサインがあり、「古径」と彫られた、業界で白文方印と呼んでいるハンコが捺されています。 

ただし現物を見た記憶はなく、僕が魅了されたのは、古径作品を集めた2016年版凸版印刷カレンダーによってです。カレンダーなんて、普通は壁に掛けて使い切ってしまうか、年末年始にまとめて逗子市役所の「自由にお持ち帰りください」と書かれた交換ボックスに持っていくだけです。

しかしこの凸版カレンダーは、その一点のためにだけ、大切に仕舞ってありました。仕舞ってあるといっても、凸版カレンダーは特大のため、スチールボックスと壁の間に立ててあるだけですが……。

0 件のコメント:

コメントを投稿

根津美術館「唐絵」7

  そのころ日本の禅僧がたくさん元に渡りましたし、長くかの地に留まり、中国文化を持ち帰った場合も大変多いのです。 流行する題画詩も彼らによって日本へもたらされた可能性が高いという指摘は、正鵠を射るものです。(略) このような島田修二郎先生の名論文を読むと、詩画軸こそ詩画一致で...