小林古径が小倉遊亀へ(『遠山記念館だより』56号)
小林古径は僕がもっとも好きな近代画家の一人です。そのなかでもっとも好きな絵が、遠山記念館が所蔵する「白菜」です。面取りされた薄いグレーのガラス器に、白菜と青梗菜と蕪を盛ったところを、背景は素地そのままにして描いた一点です。実にいい! 得もいえず素晴らしい!! 古径の傑作だ!!! 画面右下には、「古径」というサインがあり、「古径」と彫られた、業界で白文方印と呼んでいるハンコが捺されています。
ただし現物を見た記憶はなく、僕が魅了されたのは、古径作品を集めた2016年版凸版印刷カレンダーによってです。カレンダーなんて、普通は壁に掛けて使い切ってしまうか、年末年始にまとめて逗子市役所の「自由にお持ち帰りください」と書かれた交換ボックスに持っていくだけです。
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