2018年11月3日土曜日

静岡県立美術館「幕末狩野派展」5


描表装というと、江戸琳派の場合がよく知られていますが、絵画性の強い鈴木其一などより、表装裂のように描いてしまう涅槃図の場合が思い出されて、興味尽きないものがありました。涅槃図の描表装には、釈迦に対する尊崇の念が込められていたにちがいありませんが、栄信の「桃鳩図」では徽宗に対するオマージュの気持ちであったかもしれません。

あるいは、現代のトリックアートに通じる、幕末の遊戯的美意識の方を重視すべきでしょうか? しかし「僕の一点」に選んだのは、こんな美術史的問題のためじゃなく、これなら我が家の壁に掛けて、一杯やるときに楽しめるからです。狩野一信の「五百羅漢図」じゃ我が家の壁に掛かりませんし、たとえ掛ったとしても、悪酔いしちゃうかも()

0 件のコメント:

コメントを投稿

サントリー美術館「絵金」4

   絵金は江戸後期の文化 9 年( 1812 )土佐の高知城下、現在のはりまや町に髪結いの子として生まれました。本姓は最終的に(!?)広瀬、通称は金蔵、土佐では絵師金蔵をつづめ「絵金」「絵金さん」と呼ばれて親しまれました。 18 歳で江戸に出て、表絵師・駿河台狩野家の弟子で、江...