2018年11月22日木曜日

東京国立博物館「斉白石」5


 こんな風にいつものごとく戯訳をつけてみましたが、「年々春至願春留 春去無声只合愁 夫婿封侯倘無分 閨中少婦豈忘羞」という七言詩の意味が正しくとらえられているかどうか、自信がありません。しかし、この詩が長い伝統をもつ閨怨詩の系譜に連なる、近代のみごとな閨怨詩であることは確かだと思います。

とくに僕が思い出すのは、やはり盛唐の詩人・王昌齢の「閨怨」ですが、斉白石もこれからインスピレーションを得たのではないでしょうか。これまた戯訳で掲げておくことにしましょう。

  日を送る閨[ねや]――若き妻 とくに心配事もなく…… 

 春の一日化粧して 青き高殿 登りたり

 路傍の柳ふと見れば 芽吹いているよ 青々と

 出世のため夫[]を戦場に 送りしことが悔やまれる 

0 件のコメント:

コメントを投稿

根津美術館「唐絵」6

また島田先生は、「題辞、題詩が単に画図をみた印象、感想を述べるだけでなく、画図の主題と密接な関連があって、 画図の十分な理解のためにはその詩文の解釈が欠かせないとか、題跋の加わることが予期されるというような条件をおくことが必要であろう」と指摘しています。 さらに島田先生は、詩画軸...