2018年9月2日日曜日

東京国立博物館「縄文」1


東京国立博物館「縄文 1万年の美の鼓動」<92日まで>(91日)

ついに見てきました。勤務と『國華』と猛暑を口実にしているうちに、最終日前日になってしまいました。しかし40分並んだ甲斐はありました。岡本太郎をパクって、「縄文は爆発だ!!」と叫びたい気持ちになりました。これを見ずして、縄文はもちろん、日本美術を語ることはできないでしょう。縄文中期と同時期における世界の土器を集めて比較を試みる「第3章 美の競演」も、はじめて見た刺激的アイディアでした。

「僕の一点」は、青森県八戸市風張遺跡から出土した縄文後期の土偶、愛称「合掌土偶」です。その合掌する姿から、縄文女性の「祈り」をさまざまに想像することができるでしょう。それを許してくれる点に、僕はとても惹かれるのです。もちろん祈っている姿を造形化したものかどうか、保障の限りじゃありません。

しかし、縄文女性の精神的営為を直接的に表現しようとするベクトルが、国宝土偶のなかでも特に強いことは、シンボルを抜かりなく造形化している点からも、容易に見て取ることができるのです。今回は透明プラスチックの台座に座らせてあり、しかも強い照明の加減で、確認することはできませんでしたが……。

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