2018年7月14日土曜日

すみだ北斎美術館「ますむらひろしの北斎展」3


 これはますむらさんが描くアタゴオルそのままではありませんか。「富嶽三十六景」に対する僕の見方と、ますむらさんが創り出すアタゴオルは、軌を一にするものだったのです。ちょっと牽強付会の気味はありますが……。「アタゴオル×北斎」のなかで、それがみごとに視覚化されているのを見て、こんなうれしいことはありませんでした。

「富嶽三十六景」の深意を芸術家の直感で抜かりなく見抜き、すばらしい完成度のイラスト作品に昇華させたますむらひろしというアーティストに、改めて深く心を動かされたことでした。

「僕の一点」は、ますむらさんが卒業した米沢市立興譲小学校の創立120周年を記念するために制作したポスターです。「富嶽三十六景」は「山下白雨」の左上空で、俵屋宗達の「風神雷神図屏風」から抜け出た雷神が、ヒデヨシに変身してカミナリを起こしています。

0 件のコメント:

コメントを投稿

渡辺浩『日本思想史と現在』12

  そのとき『君たちはどう生きるか』の対抗馬 (!?) として挙げたのは、色川武大の『うらおもて人生録』(新潮文庫)でした。京都美術工芸大学にいたとき、『京都新聞』から求められて、就職試験に臨む受験生にエールを送るべくエッセーを寄稿したのですが、本書から「九勝六敗を狙え」を引用し...