2018年6月26日火曜日

優先席15


優先席問題を論じると、必ず矢面に立たされるのは若者です。若いくせに優先席に陣取りスマホゲームに興じ、マンガを読みふけっている。若者同士でおしゃべりに余念がない。若い女性だとお化粧に一心不乱のもいる。そして生活弱者がいても、席を譲ろうとしない。ひどいのになると、老人が乗り込んでくると急に狸寝入りを決め込むヤツもいる。一体全体、いまの若者の道徳心はどうなっているのだ――というわけです。

しかし落ち着いて考えてみると、いまの若者は可愛そうです。生れ落ちると同時に日本経済は右肩下がりで、歯牙にもかけなかった中国にGDPで追い抜かれ、将来への展望がまったく開けません。それにしたがって、非正規雇用や時間労働が増え、まともな人生設計を描くことができません。ようやく正規雇用の職を得たと思えば、ブラック企業で死ぬまで働かされます。新聞を開けば、そんな記事であふれています。

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