2018年2月19日月曜日

鎌近「堀文子展」7


 このカタログには、企画キューレーター・山本丈志さんが、素晴らしいオマージュ「五月の空と柴田安子」を寄稿しています。それによると、「柴田安子はその明確な理由を示さないまま自ら自作を焼き、その画業を知る術を後世に残さなかった」のです。死に臨んで、みずからの作品をすべて火の神・祝融に捧げたというのです。

事実、秋田県立近代美術館に所蔵されるスケッチを除けば、先の「堀文子略年譜」にも出てくる「めらはど」が、ほとんど唯一の作品だといってよいでしょう。現在、個人コレクションに収まるただこの一作によって、柴田安子は永遠の画家になったのです。

じっとながめていると目頭が熱くなるのは、安子の夭折を知っているからではありません。もちろん、あまりにも美しい安子のモノクロ・プロフィールが、網膜に焼き付いているからでもありません。それをまったくは否定できないとしても、作品によって揺さぶられる心が、目頭を熱くさせるのです。
柴田安子がもう少し生きてくれたら、必ずや「安子×文子展」が実現したことでしょう。それを見てみたかった!!

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