④交趾四方魚文香合については、すでにこの「饒舌館長」にアップしたところです。そのとき「僕の一点」として選んだのは、その緑釉の美しさに加えて、大好きな琳派画家・酒井抱一の兄貴である酒井宗雅の愛蔵品であったからでした。そのことをアップしたところ、企画担当の長谷川さんが、さっそく「宗雅」朱文瓢印が捺された箱の蓋を、作品の脇に並べてくれました。
宗雅は香合として愛用したわけですが、僕だったら塩入れにしたいなぁということも書きました。もちろんJT食卓塩なんかじゃなく、赤穂の天然塩ですよ。パッと蓋を取った時、緑と白が織りなすコントラストを想像してみてください。
緑☓白の美しさは、俵屋宗達が「風神雷神図屏風」で証明してくれています。前田青邨の「罌粟図屏風」が教えてくれます。中村草田男の「万緑の中や吾子の歯生え初むる」も、口の端にかけるものがひとしなみに二色の対照を思い浮かべるからこそ、強く印象に残るのでしょう。この句が詠まれなかったら、「万緑」が新季語として定着することはなかったにちがいありません。
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