2017年7月30日日曜日

静嘉堂文庫美術館「私の好きな茶道具ベスト10」4<白磁水指>2


それは「鳥の子」と呼ばれてきましたが、つまり「鳥の子紙」――鳥の子色をした紙の意味です。鳥の子色とは、ニワトリの卵の殻のような淡黄色のことです。白磁といっても、それは純白じゃありません。もちろん定窯磁器は、牙白と呼ばれる象牙に似たクリーム色である点に特徴があるわけですが、わが国においては、このような温かみのある白磁をとくに「鳥の子」と呼んで大切にしてきました。

近代以前、定窯のような華北の陶磁がわが国へ将来されることは少なかったそうですが、あまりにも厳しい白磁は敬遠されることが多かったのでしょう。それは龍泉窯の青磁や、景徳鎮の染付や古染付の方を日本人が好んだ現象と、表裏の関係に結ばれているような気がします。しかしこの深鉢は「鳥の子」ゆえに、やさしい白磁として、前田家のお蔵に納まることになったのでしょう。

唐時代、中国の磁器は、華北の邢窯や定窯が白磁中心となり、江南の越窯が青磁中心となったので、「南青北白」と言われました。しかし、宋時代になっても、定窯が白磁中心であり、龍泉窯が青磁中心であったことを考えれば、やはり南青北白の伝統は生きていたともいえるでしょう。

この南青北白という観点からみると、古く日本人は、北白よりも南青の方に多く惹かれたように思われます。それは北宋山水画より、南宋山水画を好んだ美意識と、どこかでつながっているようにも感じられるのですが……。

0 件のコメント:

コメントを投稿

注: コメントを投稿できるのは、このブログのメンバーだけです。

京都国立博物館「京の刀」12

  その「おもてなし」展をアップしたときも言及しましたが、この問題を考えるとき必ず読まなければならないのは、谷口吉郎先生の『日本建築の曲線的意匠・序説』<日本文化研究8>(新潮社  1960 年)という論考です。その時はただ先生のお名前をあげただけでしたが……。確認はしていま...