2017年6月29日木曜日

静嘉堂「曜変天目」5


もっとも虹蜺は龍の一種と考えられ、おめでたいものやよいもののシンボルと見なされることもあったようです。それを端的に示すのは、古代中国の五帝の一人で、尭の没後帝位に就き、徳をもって善政を行なった理想的帝王である舜の誕生にまつわる逸話です。

舜は瞽瞍[こそう]というアホな男と、その妻である握登「あくと」の間に生まれた子供ですが、あるとき握登は虹を見て孕み、舜を生んだというのです。また中国には、虹旗という虹を描いた皇帝の旗があったそうです。

漢詩に虹を詠んだものは少ないようですが、白楽天に「河亭の晴望」という五言律詩があり、『白氏文集(白氏長慶集)』巻54に載っています。僕の戯訳で紹介しましょう。 

 風向きが変わって雲が吹き飛ぶと かすみも消えて水面[みなも]あらわる

 雨も晴れ橋の形の虹が出りゃ 櫓を漕ぐごとく雁鳴き渡る

 蘇州よく治まるもわれ辞職せり 古里遠く返信も来ず

 明日重陽九月九日節句だが 菊酒注いでくれる友なし

0 件のコメント:

コメントを投稿

注: コメントを投稿できるのは、このブログのメンバーだけです。

横浜美術館「石内都展」と山口百恵2

坂道も、草原も、ドブ板横丁も、米軍に入りこまれたことによって仕方なく変らざるを得なかったあの街の、独特の雰囲気が、その写真の中では、陰となって表わされていた。哀しかった。恐怖さえ抱いた。 同じ街が見る側の意識ひとつでこんなにも違う。私の知っている横須賀は、これほどまで...