2017年6月24日土曜日

静嘉堂文庫美術館「珠玉の香合・香炉展」7


 酒井家は幕藩体制のなかにあって、政治的権力をふるっただけじゃありませんでした。代々酒井家には、文雅を愛するDNAが流れていました。例えば、抱一のお祖父さんにあたる忠恭も、お父さんの忠仰も、学問や芸術を愛して止みませんでした。その典型こそ宗雅で、諸芸にすぐれた才能を発揮しましたが、とくに茶道では、尾花庵宗雅と号する茶人として名をなしました。

かつて「抱一の伝記」と題する拙文を書いた時、宗雅のことも調べてみました。その際お世話になったのは、粟田添星の『茶人 酒井宗雅』という本と、根津美術館編集の『姫路酒井家の兄弟 宗雅と抱一』という立派なカタログでした。

お香をやらない僕がこの香合を使うとすれば、上等な天然塩を入れて食卓に置いておきたいなぁ!! 蓋を取った時、緑釉とお塩の白さがハッとするようなコントラストを演出してくれることでしょう。もっともすぐに湿気ちゃうかな? 

 香炉の「僕の一点」は、「俵に猫香炉」です。18世紀から19世紀にかけて作られた備前焼で、猫の目から煙が出るように穴を開けているところがミソです。これが背中や頭だったらおもしろくありません。猫ファンの僕が選ぶのですから、そのネコが実にうまく作られていることは当然ですが、先日アップした虎吉社長に何となく似ているところが、「僕の一点」になったポイントかも!? 

0 件のコメント:

コメントを投稿

ブータン博士花見会4

  とくによく知られているのは「太白」里帰りの物語です。日本では絶滅していた幻のサクラ「太白」の穂木 ほぎ ――接木するための小枝を、イングラムは失敗を何度も重ねながら、ついにわが国へ送り届けてくれたのです。 しかし戦後、ふたたび「染井吉野植栽バブル」が起こりました。全国の自...