2017年4月8日土曜日

五山文学の春5


 「雲雨の情」については、入谷先生のご指摘どおりであり、以前、このブログに「細見美術館『春画展』」をアップした時、僕も思い出をお話したことがあったように思います。しかし、「春夢」の前半と後半の照応が問題であり、曖昧だというのはどうでしょうか。 

お言葉ですが、僕にはとてもうまくいっているように感じられます。まず前半では、蝶々がよく二匹でじゃれ合うように飛んでいるという実際の生態がバックにあります。またそれがイメージとしても定着していたことは、有名な范成大の「四時田園雑興」の「晩春」を持ち出すまでもありません。

 蝶々が二匹舞いながら 菜の花畑に身を隠す
 今は晩春 日は長く 田舎家[いなかや]訪ねる人もなし
 鶏飛び立ち垣を越え 犬は穴から吠えたてる
 お茶をあきなう行商人 やって来たのにちがいない

0 件のコメント:

コメントを投稿

東京美術『日本視覚文化用語辞典』3

  前回、東京国立博物館の特別展「蔦屋重三郎 コンテンツビジネスの風雲児」を紹介しましたが、実をいうと後期高齢者の僕には「コンテンツ」の意味がよく飲み込めませんでした。しかしこの辞典にはチャンと「コンテンツ」という項目があって、簡にして要を得た説明がなされています。しかも「マーシ...