「福富草子」の主人公は高向秀武たかむこのひでたけ、下級に近い仕丁していのように思われます。貧乏暮らしにほとほと愛想が尽きた秀武は、女房の勧めで御幣ごへいと奉納品を調えると、ある神社に参詣して一心に願をかけるのですが、秀武に従う男の子が振り分けに担ぐものをみると、太鼓樽と唐櫃なのです。
その太鼓樽が「僕の一点」の太鼓樽と瓜二つ、太鼓樽はこんな風も用いられたことが分かります。もっとも本展に出陳された「福富草子」は江戸時代後期の部分的模本で、太鼓樽も写し取られていますが、それだけを切り取ったような描写です。どうしても春浦院本を見なければなりません。

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