狂歌絵本『花の兄』に描かれる美人は、先に述べた宗理型と呼ばれるスラリとした美人のスタイルです。この北斎宗理型美人は、当時すごい人気を集めていたのです。それを証明するのが、「ごあいさつ」にも取り上げられていた洒落本『大通契語<だいとうけいご>』です。カタログでは、『花の兄』の対向ページにすみだ北斎美術館所蔵本が出ています。
『大通契語』(寛政12年<1800>)は『洒落本大成』18(岩波書店 1983年)にも翻刻されて収められる洒落本ですが、いまや国書データベースなどによりオリジナルの形で見ることができます。愉快な「自序」の一節を、今の言葉にして直してみました。僕の意訳もチョット入っているかな( ´艸`)
客は羽織を質に入れても遊廓に出かけ、衣衣<きぬぎぬ>(暁の別れ)を惜しむ。ところが、遊女の方はまたの逢瀬を約束しながら、一昨日おとといまた来てねなんて思っている。遊女に誠まことはなく、客には金がないんだからしょうがない。阿弥陀様もお賽銭をたくさんあげれば、よく光を放ってご利益も増す――これは自然の道理というものだ。

0 件のコメント:
コメントを投稿