2025年11月21日金曜日

すみだ北斎美術館「北斎をめぐる美人画の系譜」3



 この春興狂歌集に、北斎が魅力的な美人風景図を寄せています。解説によると、現在の新宿・神楽坂あたりの風景で、遠景に牛込御門近くにあった堰の落し口が描かれています。これは「どんどん」と呼ばれて、よく知られていました。

 その若草もチョッと芽吹き始めた河原を、3人の美人と、連れの子どもをしたがえた男が歩を進めています。みんな町家の人のようです。正月の恵方参りにでも出かけた帰りなのでしょう、美人の一人は繭玉を肩にかけています。以上はカタログによるところですが、芳賀徹先生のおっしゃる「パクストクガワーナ」を、北斎が現代によく伝えてくれています。

 解説に「狂歌絵本らしい上品な色調と宗理型のうりざね顔の華奢な美人の様式は調和がとれており、正月の華やいだ風情を品よく伝えています」とあるとおりです。

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すみだ北斎美術館「北斎をめぐる美人画の系譜」3

 この春興狂歌集に、北斎が魅力的な美人風景図を寄せています。解説によると、現在の新宿・神楽坂あたりの風景で、遠景に牛込御門近くにあった堰の落し口が描かれています。これは「どんどん」と呼ばれて、よく知られていました。  その若草もチョッと芽吹き始めた河原を、3人の美人と、連れの子ど...