2025年8月28日木曜日

富士山世界遺産センター「日本三霊山の砂防」4

 

 富士山も古代から崩壊崩落を繰り返してきたそうです。それを示唆する最古の和歌が、『万葉集』に収められる「さ寝らくは玉の緒ばかり恋ふらくは富士の高嶺の鳴沢のごと」であるとのこと、帰ってからさっそく中西進さんの全訳『万葉集』を開いてみました。

これは巻14「相聞」に収められる駿河国の歌五首のなかの一首です。民衆が恋愛感情を歌った集団歌ですから、もちろん「詠み人知らず」です。かくのごとく国別に庶民の詩歌を採録するのは、きっと中国最古の詩集『詩経』の「国風」にならったのでしょう。

中西さんは「共寝することは玉の緒ほど短く、別れて恋しいことは富士の鳴沢のようにはげしいことよ」と訳しています。もっとも別本には「ま愛いとしみ寝らくはしけらくさ鳴らくは伊豆の高嶺の鳴沢なすよ」とあるそうです。これなら「いとしく思って共寝することはわずかで、人の噂は伊豆の高嶺の鳴沢のようにとどろくよ」となりますが、前者の方がストレートかつ『万葉集』らしくっていいですね。

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富士山世界遺産センター「日本三霊山の砂防」5

さらに「逢へらくは玉の緒しけや恋ふらくは富士の高嶺に降る雪なすも」というバージョンもあるそうです。つまり「あの子と逢う間の短さは玉の緒ほどにも及ばないのに、別れて恋しいことは、富士の高嶺に降る雪のように絶え間ないよ」となりますが、これじゃ~本展示とまったく関係なき一首になってしま...