現在の段階では、光琳派と見なす山根先生の鑑定に従い「伝尾形光琳筆」としておきたいと思います。ただし、18世紀後半まで下げなくてもよいのではないでしょうか。
この屏風が有する江戸琳派史上の意義はさらに高いものがあります。鈴木其一の筆になる「三十六歌仙・檜図屏風」(『國華』1522号)の「檜図」は、この屏風を再構成した作品でした。さらに重要なのは、其一の最大傑作である「夏秋渓流図屏風」(根津美術館蔵)とこの屏風が、檜モチーフという点で共通している点です。この屏風の再出現は、江戸絵画史研究に新しい地平を拓く契機となると思い、去年『國華』1548号に紹介したところです。
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