2024年11月6日水曜日

追悼 高階秀爾先生5

 

中村幸彦先生の雅俗文化論にしたがえば、高階秀爾先生が雅文化の超人であったことは周知の事実であり、僕などが改めて言う必要もないでしょう。しかし先生は俗文化の超人でもありました。それを誕生させたのが、先に指摘した好奇心であったように思います。

ある委員会のあと開かれた会食の席で、画家の呼称について問題になったことがありました。僕の好きな画家の一人に、鮎描きとして有名な小泉檀山がいます。ところがそのころ号の「檀山」ではなく、名の「斐あやる」をもって呼ぶべきだという議論が起り、みんな小泉斐と言うようになりつつありました。

また以前から円山応挙おうきょは「マサタカ」、渡辺始興しこうは「モトオキ」と呼ぶべきだという意見もありました。しかし僕は反対でした。たとえそれが正しいとしても、古くからタンザン、オウキョ、シコウと読んできたんだから、もうそれでいいじゃないかという、いかにも「いい加減はよい加減」みたいなことを言ったんです。


0 件のコメント:

コメントを投稿

出光美術館「トプカプ・出光競演展」2

  一方、出光美術館も中国・明時代を中心に、皇帝・宮廷用に焼かれた官窯作品や江戸時代に海外へ輸出された陶磁器を有しており、中にはトプカプ宮殿博物館の作品の類品も知られています。  日本とトルコ共和国が外交関係を樹立して 100 周年を迎えた本年、両国の友好を記念し、トプカプ宮...