代表作の「アダンの海辺」と「不喰芋と蘇鉄」(ともに個人蔵)は、一見眼に美しい華麗なる装飾絵画、あるいは染物や織物のような応用美術にも見えますが、それらから画然と区別し、一村その人の表現に昇華させているのは、微光感覚にほかなりません。アダンの背後、不喰芋の彼方、蘇鉄のしりえに広がる虚空の表現に、目を凝らしてみたいと思います。細心の注意を注がれた筆遣いが、得もいえぬ微妙な光をとらえていることが理解されるでしょう。
それがモチーフに、清新なる生命感を与えているといっても過言じゃ~ありません。それは一村生来の感覚であり、九州・四国・紀州旅行によって発芽した心的受容機能であり、奄美大島で完全に開花した美意識でしたが、考えてみるとチョッと不思議な気がします。
0 件のコメント:
コメントを投稿