2023年10月22日日曜日

サントリー美術館「虫めづる日本の人々」35

先にあげた板倉聖宣さんが『生類憐みの令 道徳と政治』で指摘するように、確かなことは、当時すでにそういう噂話がとんでもおかしくないほどに、綱吉の周辺では殺生が厳禁されていたということだけなのかもしれません。

しかしその殺生厳禁の対象として、蚊や蚤があがっている点に、饒舌館長はとくに注目したいんです。改めていいますが、それ以外の虫は当然のことだったんです。仁科さんは克明な「生類憐みの令関連年表」を制作し、この伊東淡路守閉門事件を「生類憐みの令ではないが、関連する事項」としています。しかし戸田茂睡がこれを生類憐みの令と考えていたことは、疑いないところでしょう。

 

0 件のコメント:

コメントを投稿

東京美術『日本視覚文化用語辞典』3

  前回、東京国立博物館の特別展「蔦屋重三郎 コンテンツビジネスの風雲児」を紹介しましたが、実をいうと後期高齢者の僕には「コンテンツ」の意味がよく飲み込めませんでした。しかしこの辞典にはチャンと「コンテンツ」という項目があって、簡にして要を得た説明がなされています。しかも「マーシ...